スロベニアの銀行業界で再び不良債権が増加している。同国の中央銀行が5月28日発表した報告書によると、3月末時点で返済期限を90日以上過ぎ不良債権化した貸付金の総額はほぼ60億ユーロに達し、昨年末の55億ユーロ、今年2月末の58億ユーロから増え続けている。不良債権比率は2月の13.9%から14.5%に上昇した。
ロイター通信によると、スロベニア政府は昨年、不良債権を抱え自己資本が疲弊した銀行の救済措置として、総額33億ユーロの資金注入と一部不良債権のバッドバンク(受け皿銀行)への移管を実施し、業界の安定化を図った。今年第1四半期の業界の業績は純利益が前年同期の410万ユーロから5,740万ユーロに大きく改善し、純金利収入が6%増の2億550万ユーロ、非金利収入が16%増の1億820万ユーロに拡大。不良債権引当金も9,040%万ユーロで前年同期に比べ13.5%減少するなど、一定の効果を上げている。
だだ、スロベニア経済は過去2年のマイナス成長からの回復がもたつき、今年は0.5%の低成長の見通しだ。企業が債務不履行に陥るリスクが高く、不良債権は更に拡大すると見る向きが多い。投資会社アルタインベストのスタノヴニク主席アナリストは、拡大傾向が長引けば新たな政治的救済を迫られる可能性があると警告する。