ウクライナ中央銀行は16日、政策金利であるディスカウント金利を9.5%から12.5%へ引き上げた。これは2001年以来で最高の水準。インフレを抑制し、資金の国外流出を食い止める狙いだ。しかし、市場では高金利が経済成長のさらなるブレーキとなる危険も指摘されている。
中銀はすでに4月、リファイナンス金利を6.5%から9.5%へ引き上げている。5月に国際通貨基金(IMF)と欧米から総額270億米ドルの支援を受けることが決まり、財政破綻は回避したものの、ウクライナ財政は決して安定しているとは言えない状況にある。
中銀は◇通貨フリブナの下落◇IMFの融資条件でもある経済改革への着手◇東部での緊張継続――から、価格上昇は予期していたとコメントした。年間インフレ率は政変前の今年1月に0.5%だったのが、6月には12%に上昇した。中銀予測によれば、通年で17~19%に達する。
アナリストらは、インフレ加速の原因の一端がIMF融資の条件として義務付けられた経済改革にあるとみる。これにはソ連時代から受け継がれてきた公益料金助成の撤廃などが含まれる。
また、金利引き上げで銀行の貸出高が減り、経済活動が鈍るという懸念も指摘されている。
IMFによると、ウクライナ経済は今年5%縮小する見通し。