2014/7/30

コーヒーブレイク

地の果てのクレーター~ロシア

この記事の要約

シベリア北西部のヤマル半島とタイミル半島で見つかった巨大な穴が話題を呼んでいる。 今月中旬にたまたま通りかかったヘリコプターの乗員が「世界の果て」を意味するヤマル半島で直径80メートルのクレーター状の穴を発見した。この報 […]

シベリア北西部のヤマル半島とタイミル半島で見つかった巨大な穴が話題を呼んでいる。

今月中旬にたまたま通りかかったヘリコプターの乗員が「世界の果て」を意味するヤマル半島で直径80メートルのクレーター状の穴を発見した。この報道を受け、そこから約30キロメートル離れた場所で「昨年9月に大きな穴ができた」と現地の村人から報告があった。また、タイミル半島でも「人工的でない穴」の存在が報告された。

これらの穴については、どうやってできたのかがまだ分かっていないため、「UFO墜落説」、「謎の兵器の実験説」、「宇宙人の地下基地説」などの憶測が飛んでいる。ただし、これまでに「隕石落下説」は非常事態省が否定した。

ロシアの専門家クルハトヴァ氏は、温暖化で永久凍土に含まれていた水とガスが解け出し、地中で圧力が高まり爆発した可能性を指摘する。

また、豪州ニューサウスウェールズ大で古気候学・雪氷学の教鞭をとるフォグウィル氏は、地中の氷塊「ピンゴ」が解けてできた穴ではないかと推測する。ピンゴは北極や永久凍土でよく見かけるもので、通常は土で覆われているために丘のように見える。これが解ければ、巨大な穴が残される可能性があるという。

ヤマル半島の穴の近くには、ガスプロムが採掘するガス田がある。ここからパイプラインを通じて国内だけでなく中欧までガスを輸出している。パイプラインが損傷すれば、経済への影響が避けられないため、政府は早速、原因解明に乗り出した。

現在、ロシアの研究者チームが水・土壌試料を採取して分析を進めているが、永久凍土が解けている新たな証拠であるとすれば、世界の環境に関わることだ。「世界の果てのこと」としてうかうかはしていられない。