トルコで10日、初の直接投票による大統領選挙が行われ、公正発展党(AKP)のエルドアン現首相が51.8%の過半数を得票し、決選投票を待たずに当選を決めた。今月28日に就任する。任期は5年。
中央選管(YSK)の発表によると、野党の共和人民党(CHP)と民族主義者行動党(MHP)の統一候補であるイフサンオール氏は38.4%、クルド人を支持基盤とする平和民主党(BDP)のデミルタシュ候補は9.8%を得票した。投票率は74.1%だった。
エルドアン氏は2003年以来、3期にわたり首相としてトルコを治めてきた。しかし、AKPの党規で首相を務められるのが3期までに制限されているため、遅くとも次回の議会選後に首相職を辞さなければならないはずだった。
エルドアン氏は大統領として政治指導者の立場を保持する考えを公にしており、憲法を改正して米国やフランスのような大統領民主制を樹立する方針だ。今後は◇後継政府がエルドアン氏の指導的立場を認めて協力するか◇来年に予定される議会選で憲法改正に必要な3分の1の議席が確保できるか◇越権行為が疑われる場合に憲法裁判所がどう判断するか――などが焦点となりそうだ。
首相後継者は21日に発表される予定だ。しかし、エルドアン氏の政友であるギュル現大統領が指名される公算は低くなっている。ギュル氏のような政治的手腕に長けた人物が首相になると、権力闘争に発展しかねないという思惑が背景にあるもようだ。