ポーランド国鉄(PKP)の貨物輸送事業PKPカーゴは9日、同国精銅大手KGHMポルスカミエズの輸送子会社ポルスカミエズ・トランスの株式50%を取得すると発表した。取引金額などの詳細は不明。来年上半期中に手続きを完了する予定だ。
PKPカーゴが買収計画を発表するのは今月に入って3件目。戦略出資による事業拡大を加速し、欧州鉄道貨物市場トップの独シェンカー(ドイツ鉄道グループ)を追い上げる。
PKPカーゴは、本国ポーランドのほか、チェコ、スロバキア、ドイツ、オーストリア、ベルギー、ハンガリーで事業を展開する。今年上半期の欧州市場シェアはシェンカー(28%)に次ぐ8.5%で、その差はまだ大きい。
現在、主に手掛けているのは石炭や建材の輸送だが、ポルスカミエズ・トランスへの出資を通じて、より採算性の高い部門へ進出できるようになる。今年上半期のポーランド鉄道貨物市場シェアはPKPカーゴが56%、ポルスカミエズ・トランスが2.2%だった。
PKPカーゴは今月2日、自前のインフラを持たない鉄道会社としてチェコ最大のアドバンスド・ワールド・トランスポート(AWT)の買収に向けて独占交渉権を獲得した。翌3日には、ポーランドの競合CLTロジスティクスの100%買収で基本合意した。
PKPカーゴは昨年の上場時に14億2,000万ズロチ(4億3,600万米ドル)を調達。今年6月時点の流動資金は3億3,940万ズロチに上っており、企業買収は主に自己資金で賄う方針を示している。