2014/9/24

コーヒーブレイク

奴隷乞食の苦難~ルーマニア

この記事の要約

同郷の障害者に物乞いすることを強制していたルーマニア人2人がウィーンで実刑判決を受けた。少なくとも5年にわたり、毎日休まず乞食をさせ、抵抗すると暴行などを加えたという。 実刑判決を受けたのは37歳のルーマニア人の男性、内 […]

同郷の障害者に物乞いすることを強制していたルーマニア人2人がウィーンで実刑判決を受けた。少なくとも5年にわたり、毎日休まず乞食をさせ、抵抗すると暴行などを加えたという。

実刑判決を受けたのは37歳のルーマニア人の男性、内縁の妻(35)およびその姉(40)の3人だ。内縁の妻は2008年にルーマニアの列車の中で被害者と知り合った。事故で両脚と片手を失くし、「恥ずかしいから家を出たい」と話を聞き、「手伝う」と申し出て夫と暮らす自宅に引き取った。

しかし、実際はろくに世話もせず、初めはルーマニアで、その後はわざわざ「稼ぎのいい」ウィーンへ引っ越して被害者に物乞いを強要した。拒否すると、夫も加わって暴行したほか、食べ物や飲み物を与えないなどの虐待を続けた。被害者は布団も与えられずに床に寝かされ、食事は残り物だけだった。

被害者は、月~土は8時半から18時までウィーン市内のロイマン広場で、日曜日はいろいろなところで開かれる蚤の市で昼まで乞食をさせられた。「稼いだ」金は全て取り上げられたという。

ウィーンにはルーマニア出身の乞食が多数おり、見回りの警察官が昨年11月に被害者の身柄を保護したことで事件が明るみに出た。犯人の男性は人身売買・暴行などの罪で懲役4年半、妻は4年の実刑判決を受けた。また、1日20ユーロの報酬で被害者を見張っていた妻の姉も懲役15カ月の判決を受けた。

警察の調べによると、昨年ウィーンで確認されたルーマニア出身の乞食の数は実に1,100人。このうち430人が「組織的乞食行為」で送検された。

乞食をしている人の中には、(1)自発的に乞食をしている人(2)組織的乞食(3)人身売買――の3種があるという。今回のような(3)のケースは少数派で、(1)と(2)は数の上で拮抗している。(2)は「元締め」が「宿泊費」などの名目で法外な経費を請求し、一人一人の「月収」は100~200ユーロに過ぎない。