2014/10/8

総合・マクロ

ブルガリア議会選挙、中道右派が第1党に

この記事の要約

ブルガリアで5日、国民議会の前倒し選挙が行われ、ボイコ・ボリソフ元首相率いる中道右派「ブルガリアの欧州における発展のための市民(GERB)」が勝利した。ただ、単独過半数はならず、8党派がひしめく議会で連立政府を樹立するの […]

ブルガリアで5日、国民議会の前倒し選挙が行われ、ボイコ・ボリソフ元首相率いる中道右派「ブルガリアの欧州における発展のための市民(GERB)」が勝利した。ただ、単独過半数はならず、8党派がひしめく議会で連立政府を樹立するのは困難を伴いそうだ。

中央選管が6日、開票率97.2%の時点で発表した各党の得票率は、GERBが32.7%、社会党(BSP)が15.3%、トルコ系住民を代表する「権利と自由のための運動(MRF)」が14.8%、改革派ブロック(RB)が8.9%、「愛国戦線」が7.3%、「検閲のないブルガリア(BWC)」が5.7%、極右のアタカが4.5%、パルヴァノフ元大統領らが結成した左派・選択肢党(ABV)が4.2%だった。

議会入りの条件となる得票率4%を超えた政党は8党に上り、体制転換後最多となった。一方で投票率は5日19時現在で47%にとどまった。

GERBの連立の可能性としては、改革派ブロックが有力視される。一方で、ボリソフ氏は前政権の連立与党である社会党およびMRFとの連立はないと言明した。

ブルガリアの政治専門家は、連立政府の組閣は各党が感情的な溝を超えて国の課題に取り組むことで一致できるかどうかにかかっていると話す。

ブルガリアは一人当たり国内総生産(GDP)が欧州連合(EU)で最も小さい。景気改善と汚職対策が課題となっているが、昨年3月のボリソフ内閣総辞職以来、暫定内閣を含めて政権交代が4回あり、政治的混乱が継続している。

昨年5月の前倒し選挙後に成立した左派中道政権は、景気・雇用・汚職といった問題に有効な対策を打てずに支持率が低下。今年5月の欧州議会選でGERBに敗北した。続いて、天然ガスパイプライン計画「サウス・ストリーム」をめぐってMRFが政権を離脱した。そして、6月からの金融スキャンダルがとどめを打ち、7月に内閣が総辞職して前倒し選挙の実施につながった。

欧州復興開発銀行(EBRD)は先月、今年のブルガリア経済の成長見通しを1.9%から1.5%へ下方修正した。暫定政府が策定した修正予算案が成立すれば、今年の対GDP比の財政赤字は予定の1.8%から4%へ膨らみ、欧州連合(EU)の定める上限(3%)を上回る。

ボリソフ氏は、組閣が成れば、景気拡大、財政赤字縮小、国営エネルギー企業の債務問題解決に取り組むと話している。(東欧経済ニュース7月30日号「ブルガリア首相が辞任、金融スキャンダル引き金に」2013年5月15日号「ブルガリア議会選、総辞職の前政権党が第一党に」、同年2月27日号「ブルガリアで内閣総辞職、電力料金高騰が引き金に」を参照)