2014/10/29

総合・マクロ

ウクライナ議会選挙、親欧州派が大勝

この記事の要約

ウクライナで26日、2月にヤヌコビッチ大統領(当時)が失脚してから初の議会選挙が行われ、親欧州派が大勝した。ポロシェンコ大統領の和平路線が一定の信認を得た形だ。ただ、大統領が率いる「ポロシェンコ連合」の得票率は予想を大き […]

ウクライナで26日、2月にヤヌコビッチ大統領(当時)が失脚してから初の議会選挙が行われ、親欧州派が大勝した。ポロシェンコ大統領の和平路線が一定の信認を得た形だ。ただ、大統領が率いる「ポロシェンコ連合」の得票率は予想を大きく下回り、単独での政権樹立は困難な情勢。3党または4党による連立が見込まれている。

開票率97.9%時点の得票率は、ヤツェニュク首相の「国民戦線」が22.2%と、ポロシェンコ連合の21.8%をわずかながら上回った。ただし、議員の約半数が小選挙区制で選ばれるため、議席数ではポロシェンコ連合が約40議席の差をつけて第1党となる見通しだ。

西部を地盤とする自由主義政党「自助党」は11%を獲得。ヤヌコビッチ派の「野党連合」も9.4%と予想を大きく上回った。右派ポピュリスト政党の急進党は7.4%に躍進した。ティモシェンコ元首相が率いる「祖国」は5.7%と大きく票を減らしたが、5%を超え議会入りを果たした。投票率は52.42%だった。

親欧州派政党の勝利で、ヤヌコビッチ派によって阻まれてきた重要な改革が前進しそうだ。ポロシェンコ大統領が政策として掲げる地方分権化や、根本的な司法改革への取り組みも本格化すると予想される。

また、ロシアは今回の選挙を認める姿勢を示しており、東部で続く紛争の解決に向けて前進するかどうかにも注目が集まる。

ポロシェンコ大統領は7月末の連立与党の決裂を受けて8月に議会を解散し、今回の前倒し選挙実施を決定した。欧州連合(EU)加盟を掲げる自らの政策に関連し、国民の意思を確かめる場として選挙を位置づけていた。

有権者は3,600万人だったが、3月にロシアへ併合されたクリミア半島、親ロ派が抑えるルハンスクとドネツクの両州では選挙実施が妨害された。このため、議会の定員450人中、27人が欠員となり、選出されるのは423人となる。また、ルハンスク州とドネツク州では来月2日に独自選挙が実施される予定だ。(東欧経済ニュース8月27日号「ウクライナ議会解散、10月選挙へ」を参照)