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2014/11/12

ハンガリー

ハンガリー国立銀、783億ユーロの流動性を供給

この記事の要約

ハンガリー国立銀行(MNB)は10日、国内商業銀行に783億ユーロの流動性を供給した。債務者の意向で外貨建て債務を国内通貨フォリントへ換算できる法律が来年施行される見込みであることを受け、国内銀行の外貨準備高を十分な水準 […]

ハンガリー国立銀行(MNB)は10日、国内商業銀行に783億ユーロの流動性を供給した。債務者の意向で外貨建て債務を国内通貨フォリントへ換算できる法律が来年施行される見込みであることを受け、国内銀行の外貨準備高を十分な水準まで引き上げる狙い。政府と金融業界は9日までに、今月7日のレート(1ユーロ=309フォリント)を債務換算に適用することで合意した。市場では、債務者に有利なレートが適用され、銀行が巨額の追加負担を強いられるとの懸念が浮上していたが、その事態は回避された。

ハンガリーでは低金利に引かれて多くの人がスイスフランを中心とする外貨建て住宅ローン契約を結んだ。しかし、リーマン・ショックに端を発する金融危機でスイスフランに対するフォリントの価値が8割も下落。支払不能に陥る債務者が相次いだ。

2010年に政権に就いたオルバン首相は、外資系が主軸の国内金融業界への課税を強化すると共に、債務者救済策を次々と実施した。今年6月末までの負担額は墺エルステ銀で7億4,600万ユーロ、墺ライファイゼンバンク・インターナショナル(RBI)で6億9,000万ユーロに上る。

なお、7月に成立した外貨建て債務救済措置法では、銀行が顧客に不利な換算レートを適用したケースについて、過去にさかのぼって銀行に差額の弁済を義務付けた。この法律は、今回の政府・銀行間の取り決めに関わりなく施行される。金融機関の負担は最大で30億ユーロを超えるとみられている。(10月1日号「銀行業界の負担一層重く=ハンガリー政府政策」を参照)

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