2015/1/28

総合・マクロ

中東欧諸国、スイスフラン高への対応策を模索

この記事の要約

スイス中央銀行によるスイスフラン上限措置撤廃でフラン高が急激に進んだことを受け、中東欧諸国が対処に乗り出し始めた。クロアチアでは国内通貨の対フラン為替相場を固定する時限措置を発表。ポーランド当局も債務者救済に向けて金利引 […]

スイス中央銀行によるスイスフラン上限措置撤廃でフラン高が急激に進んだことを受け、中東欧諸国が対処に乗り出し始めた。クロアチアでは国内通貨の対フラン為替相場を固定する時限措置を発表。ポーランド当局も債務者救済に向けて金利引き下げなどの可能性を探っている。

クロアチア議会は23日、1年間の時限措置として、通貨クナの対スイスフラン為替相場を上限措置撤廃前の1フラン=6.39クナ(0.83ユーロ)に固定する政府案を可決した。フラン建て債務を抱える国内世帯を保護する狙い。実勢相場との差額は金融機関に負担を求める。また、ミラノビッチ首相は、1年後に外貨建て債務をクナ建てに転換するプログラムを実施することで、中銀との合意を探る姿勢を示した。

クロアチア銀行協会(HUB)は政府の方針が明らかになった20日の時点で、予想外の展開で「驚いている」とコメントした。財務相との16日の会合で、固定相場の適用期間を最長3カ月とすることで合意していたためだ。一方、債務者の団体「ウドゥルガ・フラナク(フラン協会)」は、「一定の前進」としながらも、「融資契約を契約日のレートでクナ建てに転換することを引き続き求めていく」姿勢だ。

クロアチアでは推定6万世帯がフラン建て債務を負っている。スイス中銀の発表後、その総額は40億クナ(17%)増の270億クナ(35億ユーロ)に達した。

ポーランド政府はフラン建て債務のズロチ建てに転換する措置を含めた債務者救済策を検討中。28日に公表する予定だ。国内金融機関は先週、財務相、中銀総裁との会合で◇フラン金利の低下をローン金利に反映◇追加担保の要求断念◇必要に応じて弁済期限の延長――を提案したが、政府はこれでは不十分とみている。

セルビアでは弁済期間の延長や金利引き下げ、債務の一部を国内通貨建て融資に転換するなどの措置を検討する。ただ、為替差による損失は基本的に債務者が負担すべきとの立場だ。

ハンガリーは昨年11月、外貨建て融資契約を債務者に有利なレートで、国内通貨建て契約に転換できる法律が発効した。当局によれば、その具体的な方法について、ポーランドとクロアチアから照会を受けたという。(1HRK=17.68JPY)(東欧経済ニュース1月21日号「中東欧に波紋、スイスフラン上限撤廃で」を参照)