ロシアで非政府組織(NGO)の活動を制限する新しい法律が来週から発効する。検察庁にNGOを「望ましくない」団体として特定する権利を付与し、その活動に参加した国民を処罰する内容だ。すでに欧州連合(EU)、米国、英国が「言論の自由を侵害し、市民社会の根幹を揺るがす悪法」として正式に抗議している。
同法では、検察庁に「憲法秩序・国防力・国の安全」を脅かす団体を「望ましくない」団体として特定することが求められている。そして、その「活動に参加」した国民は高額の罰金・最長6年の懲役に処することになる。
しかし、選定・判断の基準はあいまいで、電話で連絡しただけでも処罰されかねない状況という。当局はまた、これらの団体の集めた情報(人権侵害例など)を公開する報道機関やブロガーを取り締まることができる。
主に欧米系のアムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチ、国境なき医師団、グリーンピースなどが対象となる見通しだ。
ロシアはすでに2012年に国外から資金を得るNGOを「外国エージェント」と規定して活動を規制してきた。ウクライナ紛争を機に、プーチン大統領など政府・議会関係者は「NGOは国外機関の手先、ロシアを不安定化させる陰謀」という宣伝を一層強めている。