2015/6/3

総合・マクロ

オデッサ州知事に元グルジア大統領が就任

この記事の要約

ウクライナのポロシェンコ大統領は5月30日、南部オデッサ州の新知事に元グルジア大統領のミハイル・サーカシュヴィリ氏を任命した。2003年の「バラ革命」後の迅速な行政機関再建や、汚職を日常から排することに成功した手腕が買わ […]

ウクライナのポロシェンコ大統領は5月30日、南部オデッサ州の新知事に元グルジア大統領のミハイル・サーカシュヴィリ氏を任命した。2003年の「バラ革命」後の迅速な行政機関再建や、汚職を日常から排することに成功した手腕が買われたもようだ。ポロシェンコ大統領としては改革に実績のある同氏を起用することで欧米側にアピールし、経済再建に向けた金融支援につなげたい狙いがある。

サーカシュヴィリ知事は就任後の取り組みとして、行政機関で大幅な人員削減を行い、年410万フリブナ(約17万5,000ユーロ)を節約すると明言した。また、県庁のネットサイトを刷新し、市民の声が届く双方向メディアに作り替えるとした。

サーカシュヴィリ氏はグルジア大統領時代に選挙で野党候補に敗れ、2013年11月に同職を辞任した。翌2月のキエフ政変後はウクライナ暫定政府の顧問を努め、昨秋の議会選挙後に大臣就任を要請されるも、グルジア国籍を放棄したくないと断っていた。

オデッサはウクライナの中でも統治が難しい地域とされる。ウクライナ派と親ロシア派の住民間の対立が激しいうえ、国内でも汚職の度合いが特に高い。また、ロシアの支援を得てモルドバからの独立を目指す沿ドニエストル共和国とは国境を接する。

サーカシュヴィリ氏の出身地であるグルジアでは、今回のオデッサ州知事就任に批判的な声が強い。大統領時代の野党弾圧や、南オセチア紛争におけるロシアとの武力衝突により人気が大きく低下したのに加え、職権乱用の疑惑が浮上し、現在裁判が進行中のためだ。

サーカシュヴィリ氏は州知事就任に伴い、グルジア国籍を放棄しウクライナ国籍を取得した。(1UAH=5.81JPY)