2015/7/22

総合・マクロ

ヒポ・アルペ・アドリア銀の南東欧事業売却、バッドバンクの清算前進

この記事の要約

オーストリアのヒポ・グループ・アルペ・アドリア銀行(HGAA)の不良資産受け皿機関(バッドバンク)であるヘタ・アセット・レゾリューション(HETA)は17日、南東欧5カ国の事業を米投資ファンドのアドベントと欧州復興開発銀 […]

オーストリアのヒポ・グループ・アルペ・アドリア銀行(HGAA)の不良資産受け皿機関(バッドバンク)であるヘタ・アセット・レゾリューション(HETA)は17日、南東欧5カ国の事業を米投資ファンドのアドベントと欧州復興開発銀行(EBRD)に売却する手続きが完了したと発表した。取引金額は業績に応じて5,000万~2億ユーロとすることで合意している。南東欧事業売却の成立によりヘタの清算が大きく前進する。

HGAAは事業展開に必要な銀行免許の許可を受け、即時営業を開始する。社名は旧名を引き継ぐ。アドベントとEBRDはルクセンブルグを拠点とする持ち株会社「AI Lake」を通じてHGAAに出資する。

ヒポ・アルペ銀は南東欧など12カ国で事業を展開していたが、2008年の金融危機を機に財務が悪化。09年の国有化後、総額55億ユーロの公的資金が注入されたものの、再建の見通しは立たなかった。このため、採算部門と非採算部門に分けたうえ、今年末までに採算部門を売却し、2017年までに非採算部門を閉鎖することが決定された。

採算部門である南東欧事業の売却が成立したことで、オーストリア政府は山を一つ越えたことになる。ただ、現在でも政府による22億ユーロの債務保証は有効で、納税者の負担が拡大する危険は去っていない。

南東欧事業の最終取引額は、2億ユーロから昨年と今年の損失額を差し引いた金額となる。昨年の赤字は1億ユーロ弱に上っており、最低金額の5,000万ユーロに上乗せできるのかどうかは不透明だ。(東欧経済ニュース3月4日号「ヒポ・アルペ銀の受け皿機関清算へ、新たな資金不足発覚で」、2014年10月1日号「ヒポ・アルペ銀の南東欧事業、今月中に売却先決定」を参照)