2015/8/5

総合・マクロ

米LNG大手のシェニエール、中東欧市場参入へ

この記事の要約

米液化天然ガス(LNG)大手のシェニエールが中東欧市参入を計画している。ウクライナ紛争をめぐって欧州とロシアの関係が冷え込むなか、ロシアへのエネルギー依存を弱めたい中東欧諸国と、ロシアへの政治的圧力を高めたい米国の思惑が […]

米液化天然ガス(LNG)大手のシェニエールが中東欧市参入を計画している。ウクライナ紛争をめぐって欧州とロシアの関係が冷え込むなか、ロシアへのエネルギー依存を弱めたい中東欧諸国と、ロシアへの政治的圧力を高めたい米国の思惑が一致した形だ。シェニエールはLNG受入基地などインフラの整備を経て、2~3年後の販売開始を見込む。

関係諸国の政府筋や企業筋への取材を元にロイター通信が7月28日付で報じたところによると、シェニエールはクロアチアに再ガス化機能を備えた海上天然ガス受入基地を建設する。欧州連合(EU)非加盟国を含む中東欧15カ国は7月20日、天然ガス調達に向けた共同戦略(CESEC)の一環として、統合的なインフラ整備に取り組むことで正式合意しており、シェニエールの計画もこれと連動していくと予想される。

中東欧諸国の大半は天然ガス需要の半分以上をロシアに依存しており、以前から調達先の分散化が課題となってきた。この関連でクロアチアのLNG基地設置も計画され、すでに投資家の募集が始まっている。ただ、これまでのところ採算面などで成功が疑問視されて選定作業が進んでいなかった。

シェニエールはLNGの開発・生産・販売を手がけ、米国で2つの輸出ターミナルを運営する。海上基地は移動が可能なことから、中東欧市場にとって現実的な選択と受け止められている。ハンガリーとクロアチアではすでにシェニエールの計画の具体的な検討に入っているもようだ。

関係筋はシェニエールの進出について、ロシアを中東欧から締め出すのではなく、中東欧諸国の調達の選択肢を広げるものと位置づけている。