中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2015/10/21

総合・マクロ

ポーランド~リトアニア間のパイプライン建設始動、バルト3国の孤立化解消

この記事の要約

ポーランドとバルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)および欧州委員会は15日、ポーランドとリトアニアを結ぶ天然ガスパイプラインの建設に関する合意文書に署名した。「ポーランド・リトアニア間ガス相互接続(GIPL)」と […]

ポーランドとバルト3国(リトアニア、ラトビア、エストニア)および欧州委員会は15日、ポーランドとリトアニアを結ぶ天然ガスパイプラインの建設に関する合意文書に署名した。「ポーランド・リトアニア間ガス相互接続(GIPL)」と名付けられた同プロジェクトを通じ、国内のガス需要をロシアからの輸入に100%依存するバルト3国を欧州連合(EU)のガス市場に統合し、欧州全域でエネルギーの安定供給を確保する。

欧州委は今年2月、エネルギー分野で単一市場を形成し、エネルギー安全保障の強化を目指す「エネルギー同盟」の構想を打ち出した。ウクライナ危機をめぐり対立するロシアへのエネルギー依存を減らすのが狙いで、資源の調達先や供給ルートの多様化を進めると共に、域内でエネルギー供給網の相互接続を推進し、加盟国が電力やガスを融通しあう体制を整えることなどを柱とする内容になっている。

バルト3国は2004年のEU加盟後もエネルギー分野でロシアに全面的に依存しており、EUのエネルギー市場から孤立した状態が続いている。欧州委はエネルギー同盟の構想に基づいて、大陸欧州とバルト3国の間で天然ガスや電力を相互に融通できるエネルギー供給網の整備を重点課題の1つと位置づけ、「バルト3国エネルギー市場相互接続プラン(BEMIP)」の枠組みでさまざまなプロジェクトへの資金支援を計画している。GIPLはその第1弾となるもので、総費用5億5,800万ユーロのうち3億500万ユーロがEU予算で賄われる。

ポーランドとリトアニアを結ぶ天然ガスパイプラインは全長534キロメートル(ポーランド側357キロメートル、リトアニア側177キロメートル)で、年間輸送能力はポーランドからリトアニアが24億立方メートル、リトアニアからポーランドは10億立方メートル。16年初めに着工し、19年末の完成を目指す。(東欧経済ニュース10月14日号「ポーランド初のLNG受入れ基地が完成」、4月22日号「ポーランドとリトアニアのガス接続、早期実現を要請=バルト3国首脳」、1月21日号「バルト三国、エネルギー分野で提携強化」、2014年11月5日号「リトアニアの浮体式LNG基地がお目見え、露へのエネ依存脱却へ」を参照)