2015/11/4

総合・マクロ

トルコ議会選、与党AKPが圧勝

この記事の要約

トルコで11月1日行われた議会選挙(定数:550)は、予想に反して与党・公正発展党(AKP)が大勝し、過半数議席を確保した。6月の前回選挙以降の政局混迷や治安悪化、景気減速などを受けて、有権者が政治的・経済的安定を優先し […]

トルコで11月1日行われた議会選挙(定数:550)は、予想に反して与党・公正発展党(AKP)が大勝し、過半数議席を確保した。6月の前回選挙以降の政局混迷や治安悪化、景気減速などを受けて、有権者が政治的・経済的安定を優先した格好だ。公式な選挙結果は今月半ば頃に発表される。

アナドル通信が2日報道した速報値(開票率100%)によると、AKPは6月選挙から8.6ポイント増の49.5%を得票。過半数の317議席を確保する見通しだ。最大野党の中道左派・共和人民党(CHP)は0.4ポイント増の25.3%で134議席、極右の民族主義者行動党(MHP)は4.4ポイント減の11.9%で40議席、クルド系左派の国民民主主義党(HDP)は2.4ポイント減の10.8%で59議席の獲得がそれぞれ見込まれている。

トルコでは今年6月7日の選挙でAKPが大きく得票を減らし、議席数は2002年の政権獲得後、初めて過半数割れした。連立交渉が難航し組閣に失敗したため、AKPは再選挙の道を選択した。

6月選挙後は、治安・政情悪化が目に見える形で進んでいった。クルド人の独立を目指す武装勢力「クルド労働者党(PKK)」が停戦協定を破棄し、保安当局との対立が先鋭化した。また「イスラム国(IS)」が関与したとみられるテロ事件が多発し、多数の犠牲者が出た。

政情不安を反映して経済も悪化。資本流出や通貨リラ安で国民も不景気を実感するようになった。

AKPはダウトオール首相の留任をはじめ、選挙敗北後も従来の体制をほぼ維持した。今回の過半数確保は、AKPの方針変更ではなく、情勢の方が変化したことに理由がある。このため、以前からの政治目標である大統領の権限強化へ向けた動きが加速するのは確実な情勢だ。(東欧経済ニュース10月7日号「トルコのインフレ加速、9月物価は7.95%上昇」、9月23日号「トルコ消費者信頼感指数がさらに低下、09年2月以来で最低に」、8月26日号「トルコ消費者信頼感指数、6年来で最低に」、7月8日号「世銀、16年と17年のトルコ経済成長予測を3.5%に引き下げ」、6月10日号「トルコ議会選挙で与党敗北、大統領の権限強化ならず」を参照)