中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2015/11/18

総合・マクロ

中東欧経済、来年はプラス成長に=IMF

この記事の要約

国際通貨基金(IMF)は13日に発表した最新の経済見通しで、東欧22カ国の域内総生産(GDP)が来年、1.3%のプラスに転じるとの予測を維持した。今年は0.6%縮小する見通し。一方、景気悪化のリスクの拡大を指摘している。 […]

国際通貨基金(IMF)は13日に発表した最新の経済見通しで、東欧22カ国の域内総生産(GDP)が来年、1.3%のプラスに転じるとの予測を維持した。今年は0.6%縮小する見通し。一方、景気悪化のリスクの拡大を指摘している。

来年はウクライナ経済が成長に転じるほか、ロシアの景気後退幅が小さくなり、東欧経済は全体として穏やかな成長を示す。リスク要因としては、◇中国など新興諸国の景気減速◇中東などからの避難民受入れ――などを挙げている。

難民については各国財政への圧力が高まったり、国境検査の導入で各国間取引に一時的な影響が出る可能性がある。一方で、西欧では関連支出増加が内需拡大につながる可能性もある。

国・地域別の傾向をみると、ロシアや同国と関係の深い独立国家共同体(CIS)の国々で景気が低迷するのに対し、ユーロ圏に近い国々では西欧を超える経済成長が実現する。

ロシア経済は原油安と欧米制裁の影響で来年0.6%縮小するものの、今年のマイナス3.8%からは改善する。

中欧諸国は欧州連合(EU)の支援減少で経済成長の可能性が限定される。また、ユーロ圏との経済統合が進んでいることで、ユーロ圏の景気動向に国内経済が左右される度合いが最も高い。

南東欧は財政健全化の必要性が最も大きい。助成金や税優遇措置を減らし、社会保障制度を改革することが求められる。

トルコは経済が堅調な伸びを示しているものの、◇外的要因によるショックを和らげる手段としての、為替相場の柔軟性の維持◇債務拡大を抑制する政策の実施――が肝要となる。また、多額の経常赤字を外国からの融資で穴埋めしている事情から、利下げを行うとリラの対米ドル為替相場が下がり対外債務負担が拡大する。このため、今月初めの選挙に勝利したエルドアン大統領からの利下げ圧力に、中央銀行がどれだけ耐えられるかも注目される。

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