2015/12/16

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

トルコの最低賃金、来年から30%引き上げ

この記事の要約

トルコのダウトオール首相は10日、法定最低賃金を来年から1,300リラ(446米ドル)に引き上げると発表した。選挙公約に沿ったもので、現行の1,000リラ(343米ドル)から30%の増額となる。 政府によると、法改正によ […]

トルコのダウトオール首相は10日、法定最低賃金を来年から1,300リラ(446米ドル)に引き上げると発表した。選挙公約に沿ったもので、現行の1,000リラ(343米ドル)から30%の増額となる。

政府によると、法改正によって賃金が上昇する人は500万人に上る。しかし、中銀の4月インフレ報告によると、就業者2,550万人のうち、賃金が法定水準以下の人は約35%(約892万人)に達する。さらに、統計局によると200万人が非正規雇用で働いていると推算される。最低賃金の引き上げは、非正規雇用でも一定の賃上げ効果を及ぼすとみられ、雇用者側の負担増は政府の説明よりも大きくなりそうだ。

ダウトオール首相はまた、(1)肥料・飼料非課税化による農業生産者支援(2)若年層向け雇用創出計画――などの施策も発表した。(2)では、◇働いた経験のない若者を採用した雇用者に初年度賃金を補助◇若年起業家に最高5万リラ(1万7,250ドル)を助成◇若年層に対する最高10万リラ(3万4,500ドル)の無利子融資制度を導入――を実施する。

経済成長の鈍化でトルコの雇用市場は悪化しており、失業率は10.1%に上る。観光業・農業の季節雇用を除くと10.4%(約309万人)だ。失業問題の改善には年率5%の経済成長が必要だが、経済開発協力機構(OECD)の最新予測では今年3.1%、来年3.4%と、この水準を下回っている。

また、通貨リラ安が進み、対米ドル相場は年初以来、26.6%も下落した。来年も10%前後安くなると予想され、インフレ圧力の高まりと景気減速で、中央銀行は金利政策で引き続き難しい判断を迫られそうだ。(1TRY=40.64JPY)

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