ロシア産天然ガスを南東欧へ輸送するパイプライン敷設計画「サウス・ストリーム」が息を吹き返す可能性が浮上している。ロシアが進める他のパイプライン計画が行き詰まりをみせているためで、同国の要請を受けたブルガリア政府も協議に応じる構えだ。今月末にも両国政府委員会が会合する。国営タス通信が11日、伝えた。
ロシアは中国の景気減速で同国へのパイプライン敷設計画を凍結したのに加え、サウス・ストリームの代わりとなるはずだった「トルコ・ストリーム」の実現もトルコとの関係悪化で危うくなっている。これらの事情を受けて、黒海・ブルガリア経由で欧州に天然ガスを供給する「サウス・ストリーム」に再び光が当たったとみられる。
サウス・ストリーム建設計画は進んでいたものの、2014年5月に欧州連合(EU)が同計画に対し、天然ガスの生産事業と輸送事業の分離を求める欧州法の順守を求めたことを機に暗礁に乗り上げた。このため、ロシアは同年12月、計画を凍結し、代わりにトルコ・ストリームの建設を進めると発表していた。
ブルガリアは目下、サウス・ストリームの黒海パイプラインの上陸地点として予定されていたヴァルナの近郊に、天然ガス輸送の中継地点(ハブ基地)「バルカン」を設けるプロジェクトを進めている。サウス・ストリーム実現に向けては、「バルカン」にガスを供給する形をとることで、EUの求める「生産・輸出事業の分離」がクリアできる可能性も大きくなりそうだ。(東欧経済ニュース2014年12月3日号「ロシア、サウス・ストリーム計画中止」を参照)