大統領の一存~トルクメニスタン

トルクメニスタンのグルバングルイ・ベルドイムハメドフ大統領は今年も健在だ。今度は国民の健康を守るため、たばこの販売を禁止したという。おかげで闇値は元値の2倍に上昇した。

健康生活の促進は大統領の大きな願いだ。だから、これまでにもたばこ税引き上げや公共の場での禁煙といった措置をとってきた。おかげで世界保健機関(WHO)によると、同国の喫煙率は8%と世界で最も低い。しかし、大統領にとっては8%でも多すぎたようだ。

年明けの5日、テレビ中継された閣議で、大統領はこの問題を管轄する「健康的社会の安全保護庁」のアタドゥルディ・オスマノフ長官を叱咤。「大佐」の称号をはく奪した上、「結果が出なければクビ」と恫喝した。

トルクメニスタンにたばこ販売を禁止する法律はないが、そんなことは気にしない。健康保護庁の役人たちはたばこを売る店へ出向き、商品棚からたばこを撤去するよう指示。守らなければ6,900マナト(約1,680米ドル)の罰金だと言い渡した。これは平均賃金に相当するという。

たばこ屋はなじみ客や友人にしか売らず、闇取引では正規価格の25マナトの2倍に当たる50マナトの値がついている。このため、ばらして1本ずつ取引するケースも出てきた。

トルクメニスタンの「嫌煙政策」はニヤゾフ前大統領の病気から始まった。チェーンスモーカーだった前大統領だが、2000年、心臓の手術を受けてたばこをやめ、「反たばこ令」を発布した。今回の措置も元をたどれば、この政令に端を発している。

ベルドイムハメドフ大統領は、ほかにも国民の健康促進に向けた試みを実行中だ。メディアを動員した「健康生活キャンペーン」がそれで、自らが自転車で釣りに出かける姿を披露したという。

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