カタールの首都ドーハで16日、主要産油国であるサウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラの石油相が会談し、条件付きで産油量を今年1月の水準に抑えることで合意した。イランとイラクンの参加が条件となる。石油輸出国機構(OPEC)の枠を超えた生産調整は1999年以来。ただ、イランとイラクは同意に難色を示しており、生産調整が実現するかどうかは不透明だ。
サウジアラビアのアルナイミ石油相は会談後の記者会見で、今回の合意が産油量をめぐる「協力の始まりになる」として、交渉継続の意思を示した。OPECの議長を務めるカタールのアルサダ石油相とベネズエラのデルピノ石油相は17日、イランの首都テヘランでイラン、イラクの石油相と会談した。イランとイラクは凍結合意には踏み切らなかったものの、交渉に「建設的」に参加するとコメントしている。
市場では、生産能力が限界に近いイラクが調整に合意することはありうるが、1月に欧米からの制裁が解かれ、石油輸出を本格化したいイランの説得は難しいと予想する。イラン側は4カ国合意の直後に「生産調整は産油量が制裁前の水準(日量400万バレル)に回復してから」と否定的なコメントを出している。同国の現在の生産量は300万バレル弱。
■ロシアの狙いは財政改善
ロシアが生産調整に動いている背景には、財政赤字の膨張がある。原油価格に応じて輸出税率が変動し、原油安が大幅な歳入減につながるためだ。スイス銀行大手のUSBによれば、バレル当たりの輸出価格が70米ドルの場合、納税額は49ドル、
経費を差し引いた企業の利益は10ドルとなる。しかし、仮に価格が20ドルに下がると、納税額、利益ともに5ドルとなる。減益幅が5ドルにとどまるのに対し、税収減は44ドルにも上る。
このため、政府は課税のあり方を変えて税収を増やす策を検討中だ。