2016/3/2

総合・マクロ

ハンガリー、難民受け入れめぐり国民投票

この記事の要約

中東などから欧州に流入する難民への対応をめぐり、欧州連合(EU)加盟国の足並みの乱れが表面化するなか、ハンガリーのオルバン首相は2月24日、EUが加盟国に難民の受け入れを割り当てる制度の是非を問う国民投票を行う方針を表明 […]

中東などから欧州に流入する難民への対応をめぐり、欧州連合(EU)加盟国の足並みの乱れが表面化するなか、ハンガリーのオルバン首相は2月24日、EUが加盟国に難民の受け入れを割り当てる制度の是非を問う国民投票を行う方針を表明した。ハンガリーは一貫して難民の受け入れ分担に反対しているほか、自国への流入を防ぐため、隣国のセルビアやクロアチアとの国境にフェンスを設置するなど強硬な姿勢を打ち出しており、国民投票を切り札に、EUに対して圧力を強める狙いがあるものとみられる。

増え続ける難民や移民の流入に対応するため、EUは昨年9月、ギリシャなどに到着する難民16万人を加盟国で分担して受け入れることを決めた。しかし、2月中旬までに実際に受け入れたのは500人程度にとどまっており、ハンガリーをはじめとする東欧諸国は依然として受け入れを拒んでいる。

オルバン首相はブダペストで記者会見を行い、「国民の同意なしに加盟国に難民の受け入れを割り当てる権限は誰にもなく、権力の乱用にほかならない」とEUの政策を強く非難。国民投票で反対票を投じることは「ハンガリーの独立を支持し、強制的な難民の受け入れ分担を拒否することになる」と述べた。国民投票の実施に向けて必要な手続きに着手したと説明しているが、具体的な日程には言及していない。

一方、オーストリア内務省は26日、同国とバルカン諸国の計5カ国が難民や移民の流入を抑制するため、入国を認める人数を1日当たりそれぞれ580人に制限することで合意したことを明らかにした。中・東欧やバルカン半島の諸国で入国制限が強化されると行き場を失う難民が急増し、ギリシャが滞留する難民らに対応しきれず人道危機が深刻化する恐れがある。

難民や移民の多くはトルコからギリシャに渡り、バルカン半島を北上してオーストリアを経由し、ドイツなどの西欧諸国を目指している。難民らの主要な移動ルート上にあたる関係国は24日、ウィーンで緊急会合を開き、国境警備の強化などについて協議。このなかでオーストリア、マケドニア、セルビア、クロアチア、スロベニアの5カ国は、1日に入国を認める難民の数に共通の上限を設けることで合意した。

オーストリアは今月17日、難民申請の受け付けを1日当たり80人に制限する方針を表明。欧州委員会が「EU法や国際法との整合性を欠く」として再考を求めるなか、19日から実施に踏み切り、スロベニアなど周辺国でも流入抑制策の強化を検討する動きが広がっていた。今回の合意に基づき、オーストリアでは自国への難民申請の受け付けを1日80人に制限し、残り500人はドイツなどに出国させる方針を示している。