米ムーディーズ、ロシア事業から撤退

米格付け大手のムーディーズ・インベスターズは9日、インタファクス通信と共同で運営するロシア子会社を年内に閉鎖し、同国市場から撤退すると発表した。ロシアで来年初めに発効する法令が運営の支障となる恐れがあるため。今後は、ロシア企業に対する格付けを国際市場における信用力を示す「グローバル・レーティング」に限定する。

ムーディーズが格付けを中止するのは、ロシア国内における相対的な企業信用力を示す「ナショナル・スケール・レーティング」だ。来年発効の新法に「政治的理由による格付け中止の禁止」などが設けられ、本国・米国法との兼ね合いがつかなくなる危険があると判断した。

仮に米国政府が対ロ制裁の一環として米国企業にロシア企業との取引を禁じた場合、ムーディーズは「政治的理由で格付けを中止」する事態に陥る。米国法に従えばロシア法に抵触し、ロシア法に従えば米国法に抵触する難しい状況となる。

スタンダード&プアーズ、フィッチ・レーティングスを含めた米国格付け大手3社のロシア市場シェアは合わせて30%に過ぎず、事業での比重は小さい。このため、市場撤退によるダメージは限定的だ。

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