2016/4/6

総合・マクロ

ガスプロムと墺OMV、資産交換で合意

この記事の要約

ロシア国営ガス会社ガスプロムとオーストリア石油大手OMVは4月1日、OMVの北海油田権益とガスプロムのシベリア・ガス田の権益を交換することで基本合意したと発表した。原油価格低迷で採掘経費を削減したいOMVと、石油事業の拡 […]

ロシア国営ガス会社ガスプロムとオーストリア石油大手OMVは4月1日、OMVの北海油田権益とガスプロムのシベリア・ガス田の権益を交換することで基本合意したと発表した。原油価格低迷で採掘経費を削減したいOMVと、石油事業の拡大を目指すガスプロムの利害が一致した形だ。ガスプロムには主要市場である欧州で、バルト海パイプライン「ノルド・ストリーム2」を敷設するに当たり、OMVの後ろ盾を確実にする狙いもある。なお、一部で噂されていたようにガスプロムがOMV株を取得することはない。

交換の対象となるのは、北海油田プロジェクトに参加するOMVのノルウェーおよび英国子会社の株式と、北西シベリアに位置するウレンゴイ・ガス田の運営会社の株式24.99%だ。OMV子会社の評価額に応じて、ガスプロムが取得する株式の数が決まる。ガスプロムによれば、夏には評価を終え、年内に取引が完了する見通しという。

ガスプロムにとっては、石油事業を拡大することでガス事業への依存を緩和できる。また、ノルド・ストリーム2計画に10%を出資するOMVとの関係を強め、計画推進における同社の協力を確実にする狙いもある。

OMVにとっては採掘費のかさむ北海油田事業の負担を軽減できる利点がある。特に、出資に当たって投資を約束した10億ユーロを全額負担しなくて良くなることは大きい。

また、ウレンゴイ・ガス田の採掘コストは北海油田の5分の1でロシアの平均よりも安くなる見通しで、大きな利ざやを稼げる。

ウレンゴイ・ガス田は2017年の生産開始が予定される。生産量の70%がガス、30%がコンデンセートで、全量をガスプロムが買い上げる。コンデンセートについては国際原油相場に応じて価格を設定し、ガスについては国内向け価格と輸出価格を設けることとなった。

両者間の提携強化の関連では、資産交換とは別に(1)OMVによるロシア産原油の調達拡大(2)ガス生産、省エネなどの課題における学術・技術提携(3)文化提携――も合意された。(1)については、今年の調達量が昨年の1.6倍の160万トンに増加する見通しだ。

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