米ペイパル、トルコでサービス停止

オンライン決済で世界最大手の米ペイパルが6日、トルコにおけるサービスを停止した。銀行法改正に伴う新たな条件を満たすことができず、事業免許が取り消されたためだ。ペイパルによると、この影響を受けるユーザーは法人で数万社、個人で数十万人に上る。

トルコ金融監視当局(BDDK)は新たに、国内で決済サービスを提供する事業者にすべての設備をトルコ国内に設置するよう命じていた。しかし、ペイパルは「世界200市場で事業を展開しており、トルコサービス用インフラをすべて同国に置くことはできない」としてこれに応じなかった。

ただ、同社では撤退する考えはなく、今後も当局との話し合いを通じ、サービス再開の可能性を探っていく方針を示している。

トルコでは反政府派がツイッター、フェイスブック、レディットなどのSNSサービスを用いてエルドアン大統領批判を繰り広げたことから、ネット業界への圧力が高まっている。ただ、オンライン決済サービスはトルコにおける電子商取引の急拡大を支えてきただけに、小規模事業者を中心に影響が出るのは避けられない。

トルコ情報科学産業協会(TUBISAD)によると、同国の電子商取引市場は2014年に35%増の189億リラ(当時の交換率で80億米ドル相当)に増加した。独オンライン統計企業シュタティスティカは2020年には115億ドルまで成長すると予測する。ペイパルがスポンサーとなっているトルコのサイトによると、電子商取引の国外売上高(輸出)は4億ドル前後で、今後数年で30億ドルまで伸びる見通しだ。(1TRY=36.80JPY)

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