ロシアの民間石油大手ルクオイルが欧州の下流事業売却を検討している。事業の軸足を製油・販売事業から探索・開発事業へ移すためで、中期的に関連資産の一括・部分売却あるいは分社化して上場するなどの基本戦略を決定する見通し。イタリア、オランダのほか、ブルガリア、ルーマニアの資産も対象となる。同社のアレクペロフ最高経営責任者(CEO)が16日、現地『RBC通信』とのインタビューで明らかにした。
ルクオイルはブルガリアで、同国唯一のネフトキム・ブルガス製油所を操業する。昨年、15億米ドルをかけた重質残油の処理施設が稼働し、年間処理能力は980万トンに拡大した。また、200店舗を超えるガソリンスタンド網を運営し、昨年の売上高は53億レフ(27億ユーロ)に上った。石油製品の販売量250万トンのうち多くが旧ユーゴ連邦諸国やギリシャ、トルコへ出荷されている。
ルーマニアではペトロテル・ルクオイル製油所(年間処理能力300万トン未満)を操業するほか、ガソリンスタンドを300店舗以上運営する。ルクオイルによると、過去18年間の対ルーマニア投資残高は4億ドル、雇用数は3,100人に上る。2015年末現在の資産価値は12億5,000万レウ(3億900万ドル/2億7,500万ユーロ)。ただし、昨年7月以来、脱税・資金洗浄の疑いでルーマニア検察当局により20億ユーロ相当の資産(株式・銀行口座)が差し押さえ処分を受けている。ルーマニア事業の売上高は昨年、543万レウだった。
ルクオイルは過去にも中欧やバルト3国のガソリンスタンド事業などを売却している。(1BGN=59.76JPY、1RON=25.84JPY)(東欧経済ニュース2016年2月10日号「ロシアのルクオイル、中東欧3国のガソリンスタンドを売却」、2015年8月20日号「ルクオイル、中東欧3カ国の給油所売却」、2015年6月17日号「エストニアの石油小売オレレクス、ルクオイルのスタンド買収へ」、2014年4月30日号「ルクオイル、ブルガリア製油所の近代化工事開始へ」を参照)