2016/6/29

総合・マクロ

トルコが外交政策を軌道修正、イスラエル・ロシアとの関係正常化へ

この記事の要約

トルコ政府が外交政策の軌道修正に乗り出した。27日にイスラエル政府と6年ぶりの外交正常化で合意したほか、ロシア政府に対しても昨年のロシア軍機撃墜に関連して正式謝罪した。周辺諸国との対立を柔らげ、国際的な孤立を防ぐとともに […]

トルコ政府が外交政策の軌道修正に乗り出した。27日にイスラエル政府と6年ぶりの外交正常化で合意したほか、ロシア政府に対しても昨年のロシア軍機撃墜に関連して正式謝罪した。周辺諸国との対立を柔らげ、国際的な孤立を防ぐとともに、イスラエルに対しては同国産天然ガスの輸入を巡るエネルギー戦略があるとみられる。

トルコとイスラエルは、2010年にイスラエル軍がガザ支援船を襲撃してトルコ人10人が死亡して以来、国交が事実上断絶していた。関係正常化に向けた協定では、両国が新たに大使を任命することが決まった。また、イスラエルは◇襲撃の犠牲者の遺族に2,000万米ドルの慰謝料支払い◇トルコの対ガザ支援物資を受け入れ――などを、トルコ側は襲撃事件に関連してイスラエル政治家・軍人の戦争犯罪追求を放棄することなどを約束した。

トルコはロシア産の天然ガスを同国に運ぶパイプライン計画「サウスストリーム」がとん挫し、ロシアへのエネルギー依存からの脱却に迫られている。一方、イスラエルは沖合のガス田「リバイアサン」で産出したガスをトルコ経由で欧州に輸出することを計画しており、両国の思惑が一致している。

ロシアとの関係はロシア軍機撃墜事件を機に悪化し、ロシアはトルコ産農産物の禁輸やロシア人のトルコ旅行を難しくする措置を発動した。トルコ政府はこれまで、「事件の責任は領空侵犯したロシア機にある」として謝罪を拒んできた。しかし、ロシア政府の27日発表によると、エルドアン大統領はプーチン大統領に書簡で「打ち落とす意図はなかった」と説明し、「遺憾」の意を示した。その上で、両国関係の改善を希望する立場を明らかにした。

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