ポーランドの印刷業者への海外からの発注が増加している。コンサルティング会社のKPMGによると、昨年の同国における印刷事業者の売上高は前年比4.5%増の138億ズロチ(約31億2,000万ユーロ)。今年は5.1%の増加を予想する。一方、事業者の多くが利用する外国製の印刷機器の輸入はやや減少傾向にある。国内メーカーも3次元(3D)印刷機のゾルトラックス(Zortrax)が市場をリードするなど健闘している模様だ。
KPMGによると、同国の印刷業者の売上高は今年さらに5.1%増加すると予想されている。海外からの発注も多く、調査対象となった300以上の企業の半数以上が製品を海外に販売していると回答した。2014年の同業界の輸出額は59億ズロチ。書籍・新聞・写真が52%で最も大きなシェアを占め、次いで包装紙・容器が43%で続いた。シェア5%のラベルは前年比43%増と好調だった。
■活躍する小規模事業者
同国の印刷業者はほとんどが小企業でその割合は全体の92%に上る。KPMGと業界団体によると、2014年時点で9,200の企業が存在し、4万7,000人を雇用している。
西部のポズナニに拠点を置くラボ・プリント(Labo Print)は今年からラベルの印刷を開始した。従来から大判のデジタル印刷に特化してきた同社だが、昨年末に初めて段ボール箱の生産を開始すると共に研究開発(R&D)部門を設立した。同社の売上の80%以上を欧州連合(EU)諸国などへの輸出が占めている。
ダイレクトマーケティング関連サービスを手掛けるグラフィコン(Graficon)は印刷物を生産する一方、手紙による販促も行っている。約600万ズロチを投じて南部クラクフの特別経済地区に建設される新施設では「レターショッピング」と呼ばれる情報技術(IT)を利用した独自のサービスを提供する予定だ。
■3D印刷機が好調
一方、同国の印刷事業者は印刷機器の多くを中国やドイツからの輸入に頼っている。輸入数量は徐々に減少しつつあるものの、依然として輸出は輸入を大きく下回っている。そんな中、10あまり存在する3D印刷機のメーカーが北米市場などに輸出を伸ばしている。専門家によると、産業用3D印刷機の世界市場における同国のシェアは約10%。各企業は好調な業績を背景に活発に資金調達を行い、事業の拡大を図っている。
世界60カ国に輸出するゾルトラックスは今年上半期中のワルシャワ市場への株式上場を目指している。同社は大手顧客の1つでコンピューター大手の米デルから5,000台の3D印刷機を受注するなど業績は好調だ。またポズナニの企業オムニ3D(Omni3D)も今年~来年中の上場を目指している。その他にも南西部ヴロツワフの企業ZMorphが1,000万ズロチの資金調達を行い、生産能力と研究開発を拡大することを計画している。(1PLN=26.39JPY)