ロシア、イランとの関係深化狙う

プーチン大統領は8日、アゼルバイジャンの首都バクーでアリエフ同国大統領およびイランのロウハニ大統領と会談した。欧米諸国との関係悪化を受けて他の地域との外交を深める方針の一環で、イラン核合意に基づく制裁解除を受け、同国と経済、エネルギー、運輸分野などで提携を強化したい考えだ。

バクーでの3国首脳会談後の共同宣言はテロや組織的犯罪、武器・麻薬密輸などへの対策強化を世界に訴える内容で具体性に欠けた。この点から、今回の会談の目的は関係強化を願う立場を相互に確認することにあったとみられる。

会談では、3国の鉄道網を接続することで「南北」回廊を実現し、スエズ運河に頼らない物流ルートを確保する計画についても話し合われた。ロシアは事業化調査などを経て、来年にも実施の可否を決めたい意向だ。

この計画について、物流ハブとしての地位構築を狙うアゼルバイジャンは積極姿勢を示している。すでに6月の時点でイランに対し、自国との鉄道網接続に向けた工事費用として5億米ドルを融資する用意があることを明らかにした。

アゼルバイジャンはロシア、イランの両国と国境を接する唯一の国であることをバネに、南北交通の要衝としての役割を果たすことを狙っている。また、東西交通でも、グルジアへの低利融資を通じ、自国及びグルジアを経由してアジアと欧州を結ぶ鉄道幹線(BTK鉄道)の整備を後押ししている。さらに、バクー南方70キロメートルのアリャートで大規模港を建設し、カスピ海経由の輸送拠点に育てる方針だ。

ロシアがイランとの関係で商機をうかがっている重要分野はエネルギーだ。原子力公社(ロスアトム)はロシア型原子炉が稼動するブーシェヘル原発の拡張工事など、イランで原子炉8期の受注を狙う。

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