2016/9/14

総合・マクロ

石油メジャーの英蘭系シェル、無人油田基地でロボット導入

この記事の要約

英蘭系石油大手のシェルは、今月24日から生産が再開されるカザフスタンのカスピ海カシャガン油田の無人基地で、遠隔操作が可能な設備監視・点検ロボット「センサボット」を導入する。爆発の危険がある環境での作業に投入することで、人 […]

英蘭系石油大手のシェルは、今月24日から生産が再開されるカザフスタンのカスピ海カシャガン油田の無人基地で、遠隔操作が可能な設備監視・点検ロボット「センサボット」を導入する。爆発の危険がある環境での作業に投入することで、人的リスク・コストを縮小する狙い。油田のほか、製油所、化学工場などでの実用化を検討している。また、商品として販売する方向で提携先を模索中だ。

センサボットはシェルが独自に開発した。センサ、カメラ、無線通信機を装備し、遠隔操作で指示された作業を行う。シェルでは「作業員に代わるものというよりも、作業できる範囲を広げる『エクステンション』という性格を持つ」と説明する。

まずは同じカシャガン油田の有人基地から操作する態勢をとるが、基本的には数千キロ離れた町からでも操作できるという。

シェルでは導入の成果を踏まえたうえで、センサボットを他の遠隔油田や、製油所、化学工場、液化天然ガス(LNG)ターミナルへ投入する意向だ。また、製品として販売することも計画しており、商業化に向けた提携先を探している。

英オックスフォード大学のオズボーン準教授はセンサボットについて、「パイプラインの監視システムなど石油業界におけるロボット工学を応用した自動化の流れと軌を一にするもの」と分析する。

カシャガン油田は、可採埋蔵量が90億~130億バレルと言われる世界最大級の油田だ。運営会社ノース・カスピアン・オペレーティング・カンパニー(NCOC)にはカザフ国営カズムナイガス(KMG)、シェル、伊エニ、仏トタル、米エクソンモービルが各16.81%、中国石油天然気集団公司(CNPC)が8.33%、国際石油開発帝石(IMPEX)が7.56%を出資する。生産開始間もない2013年10月にパイプラインのガス漏れのため生産を中止し、大掛かりな設備改修を行ってきた。

ミンバエフKMG最高経営責任者(CEO)の9日の発表によると、今月24日に生産を再開し、11月に商業生産に移行する予定だ。

カシャガン油田は原油に有毒な硫化水素を多く含むことで知られる。