第二次世界大戦終結までドイツ領だった、ポーランド北西部ズウォチェニエツ(ドイツ名:ファルケンブルク)で1934年ごろに埋められたタイムカプセルが掘り出された。ナチスが若手指導者を育成するために建てた教育・訓練施設オルデンベルク・クロッシンゼーのコンクリート土台の下に埋まっていたもので、その存在は知られていたものの、地下水や地雷などに阻まれて、これまで掘り出すことができないままだった。
ズウォチェニエツ市当局によると、「1933年に催されたファルケンブルクの都市権獲得600周年祭の様子を映したフィルムがタイムカプセルに収められている」という話があり、掘り出すことになったという。
タイムカプセルは円筒形の銅製容器で、残念ながらフィルムは入っていなかった。しかし、羊皮紙に書かれたオルデンベルクの設立文書、オルデンベルクの場所を示した地元銀行家の手紙、ヒトラーの顔写真を含む写真類、封筒に入った硬貨、『我が闘争』2冊を含む書籍、ファルケンブルクの宣伝誌、ナチ党機関紙『フェルキッシュ・ベオバハター』など新聞(34年4月21日および22日付)――といったものが「最高の保存状態(プロジェクトに参加した考古学者)」で収められていた。
発見された品々は現在、シチェチン国立博物館に保管されている。翻訳・保存処理の上、ズウォチェニエツで一般公開する予定だ。展示に当たってはナチスのイデオロギーが第二次大戦を引き起こし、数千万人が犠牲になったことがはっきりわかるような解説を付すという。大戦中のポーランドの犠牲者は600万人強に上った。うちユダヤ系国民に限ると2人に1人が殺された。