国際通貨基金(IMF)は4日発表した最新の「世界経済見通し」で、ロシアの今年の国内総生産(GDP)予想伸び率をマイナス0.8%とし、前回(4月)から1ポイント上方修正した。原油価格の上昇が主な要因で、来年についても0.3ポイント引き上げ1.1%とした。
4月に40米ドル前後で推移していた原油価格(バレル当たり)は、10月初めには50ドル近くまで上昇した。しかし、構造改革の遅れや、欧米の制裁が与える生産・投資への影響を考慮すると、プラス成長に転じた後も経済の見通しは依然として明るさに欠ける。
インフレ率は通貨ルーブル安の影響が一段落することから、今後、鈍化が予想される。
IMFはロシア政府に対し、経済が成長に転じても、歳出を急激に減らさないよう呼びかけた。また、恣意性が指摘される金融監督の改善、信用保証の効率化に取り組むよう、改めて勧告した。
■ルーマニアが好調
中東欧は今年3.3%、来年3.1%の予測だ。なかでもルーマニアは今年5.0%、来年3.8%と好調な見通し。ポーランドも昨年からは減速するが、今年3.1%、来年3.4%と堅調だ。トルコは今年3.3%、来年3.0%と予測される。
独立国家共同体(CIS)諸国ではロシアと同じく原油安に悩まされたカザフスタン、ウズベキスタン、アゼルバイジャンなど純エネルギー輸出国で景気が回復する。ウクライナは昨年のマイナス9.9%から成長に転換し、今年は1.5%、来年は2.5%の成長が見込まれている。