マケドニア議会選挙で与野党の勢力が均衡、政治的混乱が続く懸念

マケドニアで11日、前倒しで行われた議会選挙(定数:120)は、中道右派の与党・民族統一民主党(VMRO-DPMNE)が得票率38%で51議席を獲得し、第1党となった。ただ、野党・社会民主同盟(SDMS)が1.3ポイントの僅差で49議席を確保したため、2年前から続く政治混乱の早期収拾は難しいとみられている。

VMRO-DPMNEは、以前からの連立パートナーであるアルバニア系の統合民主同盟(DUI、得票率7.3%、議席数10)と組むことでかろうじて過半数を確保できそうだ。

マケドニアでは14年4月の総選挙で与党連合が勝利したが、野党は不正操作があったと主張して議会をボイコット。さらにSDSMは昨年2月、政権側による不正選挙のほか、汚職や不正な資金管理、反体制派の追放を目的とした刑事事件の捏造などを示す内容の盗聴記録を公開した。政府はこれに対し、盗聴テープは外国の情報機関の協力を得て作成されたもので不正行為の事実はないと反論。グルエフスキ首相はSDSMのザエフ党首がクーデターを企てたなどと主張し、野党との対決姿勢を鮮明にした。

その後、北部で銃撃戦が発生し、反政府運動が激化するなか、加盟候補国であるマケドニアの政情不安がバルカン諸国に波及する事態を懸念する欧州連合(EU)が仲介に乗り出した。主要4党は昨年7月、グルエフスキ首相が今年1月に辞任し、4月に総選挙を前倒し実施することなどで合意していたが、手続きの不備により前倒し選挙は2回延期され、ようやく今月に実施された。

前政権のスキャンダルを機に国民の間の亀裂は深まっている。今回の選挙では、1つの党が安定多数を得ることで政局が安定する効果が期待されていた。しかし、2つの政党の勢力がほぼ均衡する事態となったため、政治的混乱が続く懸念が高まっている。

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