岸田外相は7日から3日間の日程でチェコを公式訪問した。日本の外務大臣が同国を訪れるのは2001年の田中外相以来、15年ぶり。滞在中はソボトカ首相並びにザオラレク外相と会談し、経済連携の強化で一致した。原子力分野などでの協力を深める方向でも合意した。また、今年前半のソボトカ首相訪日の実現に向けて相互に調整を図る。
岸田外相は、日本が対チェコ国外投資(FDI)でドイツに次いで2位であることを確認したうえで、日本企業が製造業、原子力、社会基盤分野を中心に対チェコ投資に関心を抱いていると指摘。日本企業のチェコ進出を後押しする姿勢を示した。
サオラレク外相は、両国が政治・経済提携と並び、研究・調査、防衛産業、技術共有でも協力を深めることを望む立場を表明した。また、ソボトカ首相の訪日を機に、チェコ企業の対日進出を支援すると話した。この場合、特に食品加工、ナノテクノロジーを視野に入れる。
岸田外相によると、チェコに進出する日本企業は約240社に上り、4万7,000人の雇用を生み出している。これまでで最大の日系企業による投資は、トヨタ自動車と仏自動車大手PSAプジョー・シトロエンの合弁会社であるトヨタ・プジョー・シトロエン・オートモビル・チェコ(TPCA)の工場建設だ。
先月にはアサヒグループホールディングスがチェコ最大手のプルゼンスキー・プラズドロイ(代表ブランド「ピルスナー・ウルケル」)の買収を発表。東芝の米子会社であるウエスチングハウスは、チェコが新設を予定する原子炉の受注を狙う。
なお、両国の国交回復60周年を記念する「日本におけるチェコ文化年2017」の一環として、東京で3月開幕する「ミュシャ展」では、アール・ヌーヴォーを代表する画家アルフォンス・ミュシャの「スラブ叙事詩」全20点が初めてチェコ以外の国で展示される。