英国のメイ首相は1月28日、就任後初めてトルコを訪問し、エルドアン大統領及びユルドゥルム首相と会談した。欧州連合(EU)離脱後をにらみ、両国の貿易関係強化への布石を打つ狙い。戦闘機の共同開発でも合意した。
会談に合わせ、英航空・防衛大手のBAEシステムズは、トルコ航空宇宙産業(TAI)のジェット戦闘機「TF-X」開発計画に参加することで同社と基本合意した。契約規模は1億2,500万ドル(1億英ポンド)に過ぎないが、英国側はこれを足掛かりにトルコの主な兵器供給元となることを目指す。
英国のEU離脱後の取引関係では、貿易協定の締結を視野に共同作業グループを設置して準備を進めることで一致した。トルコの2015年の対英輸出高は105億ドルで、ドイツに次いで2番目に大きい。輸入を合わせた貿易高は156億ドルだが、エルドアン大統領は「戦闘機開発提携を弾みに、近い将来、200億ドルへ拡大する」ことを期待している。
なお、メイ首相はトルコのクーデター未遂事件に触れ、「英国がトルコ政府と同じ民主主義を守る立場にあったことを誇りに思う」とした上で、「現在はトルコが法治国家の原則を維持し、人権擁護の義務を果たすことで民主主義を維持することが重要となっている」と述べ、トルコで進む強権化の動きを批判した。しかし、英国内では、防衛産業での提携が人権を侵害するトルコ政府への兵器供給を意味すると指摘。提携が人権擁護の要求と矛盾していると批判している。