ロシア国営石油大手ロスネフチとリビア国営石油会社(NOC)は2月21日、ロスネフチがNOCに対し200億ドルを投資する基本合意を締結した。探査、生産、技術協力、エンジニアの研修などが対象分野となる見通し。今後数カ月かけて契約の詳細について検討を進める。
NOCのサナラ会長は英フィナンシャル・タイムズに対し、今回の投資受け入れは2022年に日量210万バレルの生産目標を達成するために必要だと述べた。両社は投資受け入れの他、ロスネフチが別途原油を引き取るオフテイク契約にも調印している。
日量160万バレルだったリビアの原油生産量は、2011年に発生した革命に伴う混乱により国際石油会社が操業を停止し、インフラも破壊されたことで大幅に減少した。石油価格の低迷も追い打ちをかけたが、ここ数カ月の間で3つの港湾とパイプラインの運用が再開されており、石油生産量は日量約70万バレルにまで回復している。
リビアは石油輸出国機構(OPEC)が昨年決定した協調減産の実施を免除されている。同国は投資とインフラの修繕を進めて今年末までに日量120万バレルまで生産量を回復させる方針で、投資資金の確保が緊急の課題となっていた。サナラ会長はロスネフチ以外にも伊ENI、仏トタル、ハンガリーのOMVなどと交渉を行っていると述べた。
今後の懸念は首都トリポリと同国東部など地域ごとに分裂した勢力間の派閥争いが激化することだ。各勢力は同国の天然資源の利権をめぐり争っており、昨年には東部を支配する軍閥が石油を独自に売却しようと試みてトリポリに拠点を置くNOCと交渉に入っている。