EU首脳会議でトゥスク大統領を再任、出身国ポーランドは最後まで反対

欧州連合(EU)は9日、ブリュッセルで首脳会議を開き、5月末で任期満了となるトゥスクEU大統領の再任を決めた。新たな任期は2年半。同氏の出身国ポーランドは再任に強く反対していたが、同国を除く27カ国が一致して2期目の続投を承認した。

ポーランドがトゥスク氏の再任に反対したのは内政上の理由による。ポーランドの与党「法と正義」はトゥスク氏が首相を務めていた当時の野党で、カチンスキ党首は長年にわたるトゥスク氏の政敵だった。トゥスク氏の再任反対を通じて「ドイツ主導によるEU支配」(カチンスキ氏)に不満を持つ保守層にアピールする狙いがあった。

カチンスキ氏の側近として知られるシドゥウォ首相は首脳会議で改めてトゥスク氏の再任反対を訴え、決定を延期するよう加盟国に働きかけた。しかし、大半は首脳会議の開催前にトゥスク氏の再任に支持を表明しており、東欧諸国を含め、ポーランドの主張に理解を示す動きは広がらなかった。

カチンスキ党首はトゥスク氏再任の決定を受け、投票結果はドイツがEUを動かしている証拠であり、加盟国の利益が「踏みにじられている」と批判。「EUが現在の路線を改めなければ歴史のかなたに消え去ることになるだろう」と述べた。一方、トゥスク氏はEUの結束を強めるため、加盟国のリーダーと引き続き「例外なく」協力していくと強調。そのうえで、ポーランド政府に対して「理性的」にふるまうよう求め、EU加盟国との関係を「後戻りできないものにしてはならない」と警告した。

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