一軒家を1日で「プリントアウト」~ロシア

米ロ合弁のスタートアップ企業、アピス・コアがモスクワの南方100キロほどのところにあるストゥピノで、立体プリントロボットを用いて家を建てた。躯体工事にかかった時間はたった1日。ドア、窓、ファサード、設備を含めた工事費はわずか1万米ドル強(約9,500ユーロ)という。災害・紛争地域などでの需要を想定している。

家は円形の1階建て。面積38平方メートルと、2人暮らしなら十分、3人家族でも短期なら住める広さだ。1平方メートル当たりの工費は260ユーロ。日本では20万~30万円(1,640~2,460ユーロ)と言われているから、その差は歴然だ。

立体プリントロボットはクレーンのような外観で、回転しながら特殊コンクリートを射出する。数時間で円形の壁が出来上がり、すぐ仕上げ工事に取り掛かれる。

これまでにも建物を「出力」した例はあったが、躯体を現地で組み立てる必要があった。アピス・コアの手法は現地で躯体を直接作ってしまうところが新しい。工費の内訳は、躯体が4,000ドル、仕上げ・設備が6,000ドルという。高性能断熱窓を採用しているから、ロシアの厳しい冬にも耐えられる。

今回はマイナス35度の厳寒下で工事が行われたが、アピス・コアでは、「適温とされるプラス5度以上であれば、工期はもっと短くなるだろう」と楽観的だ。

アピス・コアはロシアの公共住宅事業などをてがけるPIKカンパニーズと米建設会社のサンコノミーが提携して進めている。このほか、特殊建材メーカーや金融企業も参加する。サムスン電子も市場では鳴かず飛ばずだった曲面テレビで参加。壁が円状のため、「ベストフィット」となったようだ。

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