トルコのエルドアン大統領は4月25日、ロイター通信の取材に対し、欧州連合(EU)へ加盟する方針の変更もありうるとの立場を示した。16日の国民投票の結果、大統領権限を大幅に強化する憲法改正の実施が確実となったのを受けて、EUが28日の外相会議で対応を協議する予定であることを視野に、EU側をけん制する狙いとみられる。「EUが存続の危機に直面している理由の一端がトルコの締め出しにある」と批判し、「トルコを必要としているのはEUだ」という強気の姿勢を改めて打ち出した。
大統領は、「トルコが1963年にEUの前身である欧州経済共同体(EEC)に加盟申請して以来、実に54年が過ぎた。この間、トルコは欧州側の要求をすべて受け入れてきたのに、未だに欧州はトルコに戸を閉ざしたままだ。このまま待たされるのであれば、EU加盟策を継続するかどうかを国民投票に問うても良い」と語った。また、フランス大統領選挙で離脱派の極右・マリー・ルペン候補(国民戦線)が大統領選の決選投票に残ったことに触れ、「イスラム恐怖症が悪化して事態が難しくなっている。EUには『自らの存続にはトルコが必要』という認識が欠けている」と批判した。
なお、ロシアやトルコも加盟する欧州評議会は25日の総会で、トルコの民主主義への懸念が高まっているとして同国の監視強化を決議した。エルドアン大統領はこの件に関しても「政治的動機に基づく決議で、受け入れがたい」と拒否を明確にした。(●●ページの記事参照)