エストニア、電子医療のテスト事業が盛んに

エストニアがIT関連企業の市場テストの場として注目を集めている。特に健康医療に関連した分野では電子化とネットワーク化が進んでおり、30以上の企業が参加するEstonia Connected Health Cluster(ECHC)などが形成されている。しかし現地の経験豊富な企業はIT人材の不足と、変更が常態化した規制に関する知識の不足に悩まされている他、関連する国家予算の不足も指摘されている。

同分野に関するエストニアにおけるプロジェクトの成功事例としては、電子カルテの導入がある。同国のIT企業ヘルメス(Helmes)が主導する企業コンソーシアムが3年間で30万ユーロを投じて開発を行ったシステムは、導入後15カ月で全カルテの85%が電子化されるなど成果を上げている。現在同国ではカルテが電子化され全国いずれの薬局であってもアクセスすることができるようになり、薬局で身分証を提示するだけで医師の処方箋に基づき薬を処方してもらうことができる。同システムは、エストニア政府が主導して政府機関等におけるスムーズなデータ交換を目的として開発してきたX-Roadというシステムに接続する必要があるが、X-Roadは分散型である上、構造も複雑だとヘルメスの担当者ムウク氏は話す。そのため企業は開発にあたり、1社ではなくそれぞれ得意分野を持つIT企業が集まりコンソーシアムを組むことが多いという。エストニアでは大規模プロジェクトを担える企業の数は12社から20社程度に絞られる。

ヘルメスはIT分野では1位のノルタルに次ぐ同国第2位の企業で、年間の売上高は2,000万ユーロ。250人の従業員を雇用する。売上の4分の1を占める健康医療分野の他、通信、物流、金融などに関連したサービスを提供している。

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