タイヤメーカー各社、ロシア増産の動き

タイヤメーカー各社がロシアでの生産を増強している。2014年から2年連続で落ち込んでいた輸出が昨年のルーブル安を受けて回復したほか、国内販売も景気回復に伴う自動車販売の拡大により今年は再び増加する見通しだ。それを受け同国に進出する外資系タイヤメーカーは、工場の増設など生産能力を強化する動きを見せている。しかし一方では石油価格が上昇しており、原料価格と製品価格の高騰で需要増にブレーキがかかる恐れも出ている。

同国で生産するフィンランドのタイヤメーカー、ノキアンタイヤによると、縮小を続けてきた同国のタイヤ市場は、今年は前年比で5%から10%拡大する見通しだ。国内の景気悪化による新車販売台数減の影響を受けてタイヤ市場は縮小してきたが、それでもタイヤメーカーへの影響は比較的軽微なものにとどまってきた。背景には新車向けのタイヤ需要は生産量全体の5分の1に過ぎないことや、通貨安に伴う輸出増でその減少分を補うことができたことなどがある。2016年の輸出額は15年の9億6,650万ドルから10億8,240万ドルまで回復し、13年の水準に手が届くところまで来ている。

昨年ロシアで販売された新タイヤの販売量は3,080万本。ロシアで新車の組み立てを行うOEM(相手先ブランド製造)メーカー向けは自動車市場縮小の影響を受けた。一方で修理工場、タイヤ販売事業者、スペアパーツ関連事業者への売り上げは比較的良好だった。消費者が新車を購入する代わりに、現在所有する自動車を修理し新タイヤを購入したことが理由だ。

タイヤ需要の回復を反映し、各メーカーはロシア国内での生産を増強する構えを見せている。西部のカルーガ州に拠点を持つドイツのコンチネンタルは2016年に生産量を300万本まで伸ばした。17年にはさらに10万本増加すると予想しているほか、製品ラインナップも現在の300種類にさらに30種類を加える予定だ。

レニングラード州で生産するノキアンタイヤは輸出に重点を置く。輸出の伸びに伴いロシア市場向けの割合は2014年の40%から20%まで下がっている。同社はロシアでの生産拡大を進めており、生産量を150万本増やし1,700万本まで拡大する予定だ。

ミシュランは自動車生産が再び拡大すると予想し、モスクワ州の工場で生産する製品の種類を増やす予定だ。同工場では年間最大200万本を生産することが可能となっている。

ブリヂストンは昨年12月、南西部のウリヤノフスク州に新工場を開設した。当初の生産量は年間200万本を予定しているが、需要に応じ今後400万本まで増やす計画だ。

増産に向け各メーカーは動き出しているが不安材料もある。石油価格が再び上昇しており、原材料費が高くなりつつある点だ。コストの上昇をメーカーは消費者に転嫁することでカバーすることになるため、今年中にコストを10~20%程度調整することになると見られている。

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