日本や米国を始め、あちこちで「空飛ぶ車」の開発が進んでいるが、チェコではすでに実用化された。そのカギは発想の転換にある。
この乗り物「ジャイロドライブ」を開発したパヴェル・ブレジナさん(51)は3年前に「車を飛ばすより、飛行機を走らせるほうが簡単だ」と気づいたという。ドイツからジャイロコプター(上部の回転翼で揚力を得て後部のプロペラで推進力を得る小型飛行機)の組み立てキットを取り寄せ、飛行するためのガソリンエンジンと、走行するための電気モーターをスイッチで切り替えられる構造を組み込んで作った。
ジャイロドライブは2人乗り。100メートルあれば離陸でき、最高飛行速度は時速180キロメートル、最大航続距離は600キロメートルだ。
道路を走るには上部回転翼をひもで固定し、たたんであったナンバープレートを開けばよい。最高時速は40キロメートルだが、ガソリンスタンドやホテルに行くぐらいならOKだ。
ブレジナさんは運行許可を受けた今年3月にプラハに出かけ、町中のカフェに向かって走った。警官に呼び止められて飲酒検査をさせられたが、そのほかは全く問題なかったという。
開発中の他の「空飛ぶ車」に速度や航続距離などで負けているジャイロドライブだが、その魅力は何といっても150万コルナ(5万7,000ユーロ)からスタートするというお値段。スロバキア政府も出資する「アエロモバイル」の販売価格は120万~150万ユーロになると推定されており、その差は歴然だ。
「飛べて走れればいい」というコアなファンが付きそうだが、どうだろう。