ハンガリーのシーヤールト外務貿易相とロシア国営ガス会社ガスプロムのミレル社長は5日、モスクワで会談し、ハンガリーにおけるパイプライン新設で提携することで合意書を交わした。ロシア産天然ガスの新たな輸送ルートと位置付けるもので、早ければ2019年末に稼動する。
シーヤールト外務貿易相は、「カスピ海から中東を経由し欧州へ天然ガスを運ぶ輸送路を整備するという、欧州連合(EU)の『南回廊構想』を実現するには、ガスプロムと提携するのが最も現実的」とコメント。「ハンガリーが南から天然ガスを調達できるようにすることは、国家安全上の重要課題」であるため、今回の提携に踏み切ったと説明した。
これに関連して、同外務貿易相はハンガリーとルーマニア間のパイプラインやクロアチアの液化天然ガス受け入れ基地といった個別プロジェクトを例に、「EU独自の南回廊整備計画が遅れている」と不満を表明した。一方で「ガスプロムは着々と計画を実行に移して」おり、同社との提携のほうが現実的と判断したと補足した。
新パイプラインは、セルビア経由でハンガリーにロシア産ガスを年間80億立方メートル輸送できる能力を持つ。ハンガリーの需要(約90億立方メートル)の9割弱をまかなえる規模だ。