中東欧事業に強いオーストリア2銀行の業績が好調だ。同地域経済が欧州連合(EU)平均を超える成長を遂げているためで、ライファイゼンバンク・インターナショナル(RBI)は2017年上半期に前年同期実績の約2.5倍に当たる5億8,700万ユーロの利益を計上。エルステ銀もアナリスト予測を上回る6億2,470万ユーロを稼ぎ出した。今後も中東欧地域の好調が追い風となりそうだが、一方で政治的リスクは払しょくされないままだ。
ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、ルーマニアといった中欧・南東欧諸国は、経済成長率がEU平均より高い。内戦に揺れるウクライナでさえも、RBIは確実に利益を稼ぎ出している。欧米からの制裁が続くロシアでも経済は上向き、中東欧の金融大手である両銀行をとりまく環境は良好といえる。
唯一、懸念されるのが政治的リスクだ。ポーランドとハンガリーの右派ポピュリスト(大衆迎合的)政権は予想外な措置を実行することがあり、将来を見通すのは難しい。
RBIの場合は具体的に、ポーランド子会社ポルバンクの株式公開(IPO)の問題がある。金融監督庁(KNF)との間で、来年5月までに株式15%以上を市場に公開する約束をしているが、スイスフラン建て不良債権の強制両替問題が未決着なこともあり、順調に手続きが進むかどうかは不透明だ。
RBIは中東欧14カ国に1,650万人の顧客を持つ。上半期末の不良債権比率は7.3%と、年末達成を目指していた「8%未満」を早期にクリアした。
エルステは東欧7カ国に1,700万人の顧客を持つ。上半期利益にはルーマニアとチェコの事業が特に貢献した。