欧州一のマリワナ産地~アルバニア

アルバニアがマリワナの重要産地に台頭している。欧州警察(ユーロポール)によれば、欧州では不名誉ながらダントツの1位という。欧州連合(EU)加盟を目指すラマ首相(社会党)は、ようやく組織犯罪取り締まりを強化する姿勢を示し始めた。ただ、首相が本気なのかどうかには疑念が浮かぶ。

アルバニアは1990年代初め、全体主義から民主化へ移行する中で社会が混乱した。その隙に、政治とのパイプの太いマフィアがたばこや武器、ヘロインの密輸などを商売にし始めた。間もなくマリワナの取引も加わった。

ギリシャ国境に近いラザラトは村のそこかしこで原料の大麻が植えられ、加工所も備える「大量生産地」と化した。密輸取り締まりが任務のイタリア財務警察によれば、年産規模は900トンに上ったという。政府はそれでもなかなかラザラトに手を付けず、EUがアルバニアを加盟候補国とするかどうかを決める直前に「手入れ」を行った。5日間かけてマリワナ80トンと大麻草13万本を焼却処分したが大物は逮捕できず、大麻栽培が奥地に移っただけだった。

昨年の選挙で再選を決めたラマ首相は、今年になってから取締りを強めている。全国の地方警察局長を総入れ替えし、イタリア財務警察の提供する航空写真を基に、大麻畑をつぶしている。

実際に警察官たちが費やす労力は多大だ。北部シュコドラ市の例をとると、総勢100人で出動。山の中を最初は自動車、その後は徒歩で分け入り、畑12枚、大麻1,785本を焼き払った。移動を含めた所要時間は18時間弱。日が昇る前から日没後までかかった。

実際、今年に入って大麻栽培は下火になっているようだ。ただ、昨年の「豊作」で相場が下がり、マフィアにとって魅力が小さくなっているという事情もあるようだ。

いずれにしても、マフィアは政治家に資金を流し、しっかり関係を築いている。政治家がマフィアとの縁を切るのは難しい。そして、取り締まろうとしても、貧相な装備で警察がどこまでマフィアに対抗できるのか――現時点ではなかなか出口が見えてこない。

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