自動車電動化でハンガリー経済に打撃=蘭アトラディウス

電気自動車(EV)の急速な普及で、近い将来、ハンガリー経済が打撃を受けるという見方が浮上している。同国の主要産業である自動車部品製造で価格競争力が弱まるためだ。早ければ5年後にも影響が出始めるという。

スペイン保険大手グルーポ・カタラナ・オクシデンテ(GCO)の取引信用保険事業アトラディウス(アムステルダム)のリポートによると、従来の自動車に比べてEVは部品数が6割少ない。ハンガリー製造業の30%がドイツの自動車メーカー向け部品に頼っていることを考えると、EVへの移行がもたらす影響は大きい。

ドイツでは国内17社が参加する企業連合テラEが、EV用バッテリー工場(ギガファクトリー)の建設を計画している。10億ユーロを投資し、高度に自動化された生産体制を整備する予定だ。ハンガリーが強みにしてきた安価な労働力が立地決定の動機付けとして弱まる可能性は十分にある。

さらに、ドイツ車の最大の国外市場が中国であることも、ハンガリーに不利に働くかもしれない。中国政府がEV普及に大きく舵を切る中、ドイツメーカーにとっては中国でEV部品を現地生産するほうがメリットが大きいためだ。

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