旧ソ連6カ国との東方パートナーシップ首脳会議、EU加盟へ道筋示さず

欧州連合(EU)は24日、ブリュッセルで旧ソ連6カ国との関係強化を目指す「東方パートナーシップ」の首脳会議を開いた。EUと連合協定を結んでいるウクライナなどはEU加盟につながる具体的な成果を求めていたが、ロシアとの関係悪化を避けるため、共同宣言に盛り込んだ合意内容は汚職対策などでの協力強化にとどまった。

東方パートナーシップはEUが進める「欧州近隣政策」のうち、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、グルジア、モルドバ、ウクライナの6カ国を対象とした枠組みで、2009年に発足した。首脳会議は2年に1回開かれており、今年で5回目。会議では汚職対策のほか、法の支配の強化、投資環境の改善など、実務面での協力推進を中心に、2020年までの実現を目指す20項目の行動計画が策定された。

EU加盟を目指すウクライナ、モルドバ、ジョージアは欧州統合の早期実現につながる文言を共同宣言に盛り込むよう求めていたが、EU内では移民問題や極右政党の勢力拡大に直面する加盟国の間でEUの東方拡大に慎重な姿勢が広がっており、「パートナー関係にある国の欧州への願望を認識する」との表現にとどまった。また、ロシアによるウクライナ南部クリミア半島の併合にも言及しなかった。

EUのトゥスク大統領は会議後の記者会見で、「合意文書にはもう少し野心的な内容を盛り込みたかった」と述べたが、詳細には触れなかった。これに対し、リトアニアのグリバウスカイテ大統領は「最も重要なのはEU加盟を保証することではなく、加盟基準を満たすための改革を進めることだ」と強調。ルクセンブルクのベッテル首相も「今はウクライナなどのEU加盟について議論するのに相応しいタイミングではない」と述べた。

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