ガスプロム、昨年の欧州向け供給量8.1%増加

ロシア国営ガス会社のガスプロムは3日、2017年の欧州向けガス供給量が前年比8.1%増の1,939億立法メートルに上ったことを明らかにした。2年連続での過去最高記録更新となる。生産高も4,710億立法メートルで、12.4%の大幅増となった。

欧州連合(EU)はロシア産ガスへの依存度を下げる基本政策を打ち出しており、ポーランドやリトアニアなど海路での他国産ガス調達に乗り出す動きも見られる。このような逆風の中で輸出が好調なことについて、ガスプロムのミラー社長はロシアの安定的なガス供給力への信頼性が高いことを強調する。ロシアからのパイプラインは欧州のガス調達の生命線として機能しており、需要の約4割をまかなっている。

一方、輸出量拡大のための設備投資額も過去最高に達した。東シベリアから中国国境に至る3,000キロメートルに及ぶ天然ガスパイプライン「シベリアの力」の総投資額は550億ドル。来年供給を開始する計画だ。一方、ロシア黒海沖からトルコに至る「ターキッシュ・ストリーム」(130億ドル)、バルト海底経由でドイツに至る欧州企業との合同プロジェクト「ノルド・ストリーム2」(115億ドル)については、自国産の液化天然ガス(LNG)輸出に不利とする米国が経済制裁も辞さない構えで、資金調達で難航する可能性がある。

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