サムスン・スロバキアの人材不足深刻、生産移転も検討か

韓国サムスン電子のスロバキア工場で長引く人材不足が深刻な存続問題に発展している。現地通信社SMEが10日、複数の消息筋の情報として報じたもので、政府と外国人労働者の雇用手続き簡略化で交渉する一方で、生産移転も選択肢と考えているもようだ。同社はSMEの取材に対し、工場閉鎖は検討していないとしたうえで、生産規模縮小や国外への部分移転の可能性は否定しなかった。

サムスンのスロバキア従業員数は、薄型テレビ生産拠点のガランタ工場(年間売上高28億ユーロ)が正規雇用1,457人、派遣約1,000人。液晶モジュールを製造するヴォデラディ工場(同6,300万ユーロ)が正規雇用568人、派遣約1,000人。南西部にある両拠点とも地元の失業率が約2%と非常に低く労働力確保が困難なため、ウクライナ人やセルビア人など外国人労働者に依存しているのが実情だ。

ただ、欧州連合(EU)圏外の外国人の雇用は容易ではない。手続きが複雑で、就労ビザの有効期間も最長3カ月と制限があり、雇用者を悩ませている。サムスンが生産移転をちらつかせるのは、政府に外国人雇用手続き簡便化で譲歩させるための作戦で、本気ではないと見る向きもある。

上部へスクロール