ルーマニア首相辞任、党内対立で

ルーマニアのトゥドセ首相は15日、所属する社会民主党(PSD)の支持を失ったとして辞任した。政策を巡るリヴィウ・ドラグネアPSD党首との対立が原因だ。昨年1月に就任したグリンデアヌ前首相も同じような経緯で同6月に辞任しており、度重なる首相交代に与党・PSDの政権運営に疑問符が浮かぶ。

トゥドセ首相は先週、小児性愛(ペドフィリア)犯罪に警察官が関わった疑いが浮上したことを理由に、ドラグネア党首の腹心であるカルメン・ダン内相に辞任を求めたが拒否された。その後、15日のPSD執行委員会における首相の信任投票で圧倒的多数が不信任票を投じたため、辞任を決めた。

2016年12月に行われた議会選挙で、PSDは上下両院で46%の議席を獲得して大勝し、同じく6%を得票した自由民主同盟(ALDE)と17年1月に中道左派の連立政権を樹立した。ただ、ドラグネア党首は選挙法違反で有罪判決を受けた過去があるため首相の座に付けず、代わりに無名だったグリンデアヌ氏を指名した。その後、汚職への罰則を緩和するよう求めるドラグネア党首との意見の相違が明確となり、グリンデアヌ首相(当時)が同党首の辞任要求を拒んだため、議会での信任投票に持ち込んで退陣させた経緯がある。

ドラグネア党首は今回のトゥドセ首相辞任で党内における強い権力基盤を改めて内外に示したが、首相候補探しは次第に難しくなっている。候補の指名にはクラウス・ヨハネス大統領の承認が必要だ。迅速な組閣に向けては、汚職対策を重視する大統領が納得できる人物を早く見つけられるかどうかがカギを握る。

現地報道によると、首相代行についても、当初、PSDが推薦したパウル・スタネスク副首相の指名を大統領が拒否し、ミハイ・フィフォル国防相が就任することとなった。PSDが首相候補について、大統領とどう折り合いをつけるかが注目される。

首相候補は連立与党及び大統領の承認を得て、45日以内に指名される。議会の信任決議を経て、正式に首相に就任することになる。

ヨハネス大統領は17日にも政党との話し合いを開始し、早期の次期首相任命を目指す姿勢だ。PSDは18日に候補の検討に入る。

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